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「クラフトビール」は法律の区分ではない|ビールと発泡酒の分かれ目は麦芽50%

酒税法が定めているお酒の区分に、「クラフトビール」はありません。あるのは「ビール」と「発泡酒」です。

この記事では、酒税法第3条の定義業界の「ビールの表示に関する公正競争規約」の原文を確認し、両者の分かれ目がどこにあるかを整理します。

この記事の結論

  • 「クラフトビール」「地ビール」は、酒税法にも業界の規約にも出てきません(本文を検索して0回)
  • ビールと発泡酒の分かれ目は麦芽比率50%以上
  • もうひとつ条件があり、果実や香味料は麦芽の重量の5%以下
  • 使える副原料は規約に品目名で列挙されている(麦・米・とうもろこし・果実・コリアンダーなど)
  • 2026年10月1日から「その他の発泡性酒類」の度数の線引きが10度未満→11度未満に変わります

ビールの定義(酒税法第3条第12号)

国税庁の資料に、次のようにまとめられています。原文のまま引用します。

品目 定義の概要(酒税法第3条第7号から第23号まで)
ビール ・麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの)
・麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもので、下記の条件を満たすもの(アルコール分が20度未満のもの)
・上記に掲げるビールにホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもので、下記の条件を満たすもの(アルコール分が20度未満のもの)

(条件)麦芽比率が100分の50以上であること並びに使用した果実(乾燥したもの、煮詰めたもの又は濃縮した果汁を含む。)及び一定の香味料の重量が麦芽の重量の100分の5を超えない(使用していないものを含む。)こと
発泡酒 ・麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの)
・ホップ又は苦味料を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの)
・香味、色沢その他の性状がビールに類似する酒類で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの)
国税庁「酒税法における酒類の分類及び定義」より引用(2026年8月11日確認) ※スマートフォンでは横にスクロールできます

読みどころは2つです。

① 麦芽比率が100分の50以上。原料のうち麦芽が半分以上でなければ、ビールとは呼べません。

② 果実や香味料は麦芽の重量の100分の5まで。フルーツを多く使うと、この上限を超えて発泡酒になります。「発泡酒」と書かれた果実入りのビールらしい飲みものがあるのは、これが理由です。

使える副原料は品目名で決まっている

業界の「ビールの表示に関する公正競争規約」の施行規則に、政令で定める物品が列挙されています。

(1) 麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又は酒税法施行規則で定める苦味料若しくは着色料

(2) 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含む。)又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料

ビールの表示に関する公正競争規約 施行規則 第1条(2026年8月11日確認)

着色料についても指定があります。

第1項第1号に規定する「財務省令で定める着色料」は、カラメルとする。

同 施行規則 第1条第3項(2026年8月11日確認)

コリアンダーが名指しで出てくるのが特徴的です。ベルギーの白ビールなどで使われる香草で、これが認められているために麦芽比率さえ満たせばビールとして造れます。

★「クラフトビール」「地ビール」は、どちらの原文にも出てきません

酒税法の分類・定義の資料と、業界の公正競争規約(全12ページ)の本文を検索しました。

酒税法の分類・定義 ビールの表示に関する公正競争規約
クラフト0回0回
地ビール0回0回
小規模0回
ビール15回多数
発泡酒6回
両文書の本文を編集部が検索して数えた(2026年8月11日確認) ※スマートフォンでは横にスクロールできます

「クラフトビール」は、造り方や規模を保証する表示ではありません。大手が造っても小さな醸造所が造っても、名乗ることを妨げるルールが公的にも業界規約にも見当たりませんでした。

なお、この「ビールの定義の拡大」は統計にも表れています。平成30年度に地ビールの免許場数が184場から395場へ跳ねたのは、発泡酒の免許を持っていた醸造所にビールの免許が付与されたためです。

「地ビール」が1994年に生まれた理由|最低製造数量基準が2,000kLから60kLへ

この構造は、当サイトで扱った他の酒と比べると分かりやすくなります。

呼び名 誰が条件を定めているか
純米酒・吟醸酒(国税庁告示)→ 解説
ジャパニーズウイスキー業界団体(日本洋酒酒造組合の自主基準)→ 解説
ひやおろし・秋あがりどちらも定めていない(慣用語)→ 解説
クラフトビールどちらも定めていない(本記事)
各文書の原文を確認して編集部が整理(2026年8月11日確認) ※スマートフォンでは横にスクロールできます

一方で「ビール」と「発泡酒」は酒税法が定めた区分です。ラベルの品目欄に書かれているのはこちらで、こちらには条件があります。

★2026年10月1日から線引きが変わります

国税庁の資料には、発泡性酒類の区分について次の注記があります。

ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビール及び発泡酒以外の酒類のうちアルコール分が11度未満(※)で発泡性を有するもの)
(※)令和8年9月30日までは10度未満

国税庁「酒税法における酒類の分類及び定義」(2026年8月11日確認)

令和8年(2026年)9月30日までは10度未満、10月1日からは11度未満になります。本記事の確認日(2026年8月11日)時点では、まだ10度未満が適用されている期間です。

これは「その他の発泡性酒類」の範囲の話で、ビールと発泡酒の定義(アルコール分20度未満)が変わるわけではありません。

買うときにどう見ればよいか

ラベルの品目欄を見る

  • 「ビール」と書いてあれば、麦芽比率50%以上で、副原料は麦芽重量の5%以下です
  • 「発泡酒」は麦芽比率の条件がありません。味が劣るという意味ではなく、区分が違うということです
  • フルーツを多く使った商品は「発泡酒」になることがあります。上限を超えるためで、造り手の意図的な選択である場合もあります
  • 「クラフトビール」の表示からは、規模も造り方も分かりません。気になる場合は醸造所の情報を確認してください

※2026年8月11日時点で確認した内容です。酒税法と規約は改正されることがあります。最新の内容は国税庁および全国公正取引協議会連合会のページでご確認ください。区分の違いは味の優劣を示すものではありません。当サイトから良し悪しについて述べることはしません。

なお、この規約には「生ビール」「ラガー」「黒ビール」「スタウト」の名乗る条件も定められています。「クラフト」に定義がないのとは対照的です。

ビールの「生」「ラガー」は誰が決めているか|業界の規約が条件を定めている4語

よくある質問

クラフトビールに法律上の定義はありますか?
今回確認した範囲では見つかりませんでした。酒税法の分類・定義の資料にも、業界の「ビールの表示に関する公正競争規約」の本文にも「クラフト」「地ビール」という語は一度も出てきませんでした。
ビールと発泡酒は何が違いますか?
麦芽比率です。ビールは麦芽が原料(ホップと水を除く)の100分の50以上である必要があり、加えて果実や香味料が麦芽重量の100分の5を超えないことが条件です。発泡酒にはこの条件がありません。
フルーツビールが「発泡酒」になっているのはなぜですか?
果実の重量が麦芽の重量の100分の5を超えると、ビールの条件から外れるためです。品質の問題ではなく、区分の条件によるものです。
コリアンダーを使ってもビールですか?
規約の施行規則にコリアンダーが香味料として明記されています。ただし香味料は麦芽重量の100分の5以下という条件が付きます。

出典

本記事は編集部が上記の情報源を確認して作成しました。引用は原文のままです。出現回数は編集部が本文を検索して数えたものです。比較表は各文書の原文にもとづき編集部が整理したものです。「クラフトビール」の定義については、今回確認した2つの文書に記載がなかったという事実を書いており、あらゆる文書を網羅的に調べたものではありません。区分の違いは味の優劣を示すものではないため、当サイトからは述べていません。