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「ジャパニーズウイスキー」と名乗れる条件|自主基準の全要件と、これが法律ではない理由

「ジャパニーズウイスキー」と書くための条件は決まっています。根拠は日本洋酒酒造組合が2021年2月12日に制定した「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」(2021年4月1日施行)です。

ただし、日本酒の「純米酒」「吟醸酒」とは性質が根本的に違います。この記事では基準の原文をそのまま引用し、その違いまで整理します。

この記事の結論

  • これは法律ではなく、業界団体の「自主基準」です(日本酒の特定名称は国の告示)
  • 要件は5つ。麦芽の使用・国内での蒸留・700L以下の木製樽で3年以上の国内貯蔵・国内での容器詰めと充填時40度以上
  • 「ジャパニーズ」と「ウイスキー」の間に他の語を入れて分断することはできません
  • 要件を満たさない酒には、日本の地名・人名・国旗・元号も使えません
  • 移行のための猶予(経過措置)は2024年3月31日で終わっています

まず、これは法律ではありません

基準の第7条には、運用について次のように書かれています。

本基準は、日本洋酒酒造組合が運用するものとし、基準の解釈、特定の用語の表示方法に疑義があるときは、理事会の決議により付託された委員会において審議するものとする。

日本洋酒酒造組合「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」第7条(2026年8月11日確認)

運用するのは国ではなく組合です。日本酒の「純米酒」「吟醸酒」が国税庁の告示で定められているのとは、ここが決定的に違います。

さらに「クラフトビール」のように、国も業界団体も条件を定めていない呼び名もあります。お酒の呼び名は、この3通りに分かれます。

「クラフトビール」は法律の区分ではない|ビールと発泡酒の分かれ目は麦芽50%

ジャパニーズウイスキー 日本酒の特定名称(純米酒など)
定めているもの 日本洋酒酒造組合(業界団体) 国税庁(国)
性質 自主基準 告示
制定 2021年2月12日(施行2021年4月1日) 平成元年11月22日
両基準の原文にもとづき編集部が整理(2026年8月11日確認) ※スマートフォンでは横にスクロールできます

5つの要件(原文)

第5条の表に定められた製法品質の要件です。すべて原文のまま引用します。

項目 製法品質の要件(原文)
原材料 原材料は、麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ること。なお、麦芽は必ず使用しなければならない。
製造 糖化、発酵、蒸留は、日本国内の蒸留所で行うこと。なお、蒸留の際の留出時のアルコール分は 95 度未満とする。
貯蔵 内容量 700 リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して 3 年以上日本国内において貯蔵すること。
瓶詰 日本国内において容器詰めし、充填時のアルコール分は 40 度以上であること。
その他 色調の微調整のためのカラメルの使用を認める。
日本洋酒酒造組合「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」第5条より引用(2026年8月11日確認) ※スマートフォンでは横にスクロールできます

読みどころは3つあります。

① 水も日本国内で採水したものに限られます。原材料の条件に水が入っているのは、日本酒の特定名称の要件にはない発想です。

② 貯蔵は「3年以上」で、しかも起算日が明記されています。「当該詰めた日の翌日から起算して」とあるので、樽詰めした日は数えません。

③ 度数は「充填時」で40度以上です。瓶詰めするときの度数が基準になります。

「ジャパニーズ」と「ウイスキー」は切り離せない

これはあまり知られていない規定です。第5条の第2項にこうあります。

特定の用語は、「ジャパニーズ」と「ウイスキー」の文字を統一的かつ一体的に表示するものとし、「ジャパニーズ」と「ウイスキー」の文字の間を他の用語で分断して表示することはできない。

同基準 第5条第2項(2026年8月11日確認)

つまり「ジャパニーズ ◯◯ ウイスキー」のように間に語を挟む表示は認められていません。要件を満たしているかどうかとは別に、書き方そのものが定められています。

言い換えても、翻訳しても、「風」でも駄目

第6条第1項は、抜け道を塞ぐ規定です。

第5条に定める特定の用語の表示は、日本ウイスキー、ジャパンウイスキー等の同義語で表示する場合、外国語に翻訳して表示する場合又は、種類、タイプ、型若しくは風等の表現を行う場合であっても第5条に定める製法品質の要件に該当しないときは表示することができない。

同基準 第6条第1項(2026年8月11日確認)

「日本ウイスキー」「ジャパンウイスキー」も、英語表記も、「ジャパニーズウイスキータイプ」「ジャパニーズウイスキー風」も、要件を満たさなければ使えません。

日本の地名・人名・国旗・元号も使えない

ここが最も強い規定です。第6条第2項には、要件を満たさないウイスキーについて、次の表示をしてはならないと定められています。

使えない表示(原文)
日本を想起させる人名
日本国内の都市名、地域名、名勝地名、山岳名、河川名などの地名
日本国の国旗及び元号
前各号に定めるほか不当に第5条に定める製法品質の要件に該当するかのように誤認させるおそれのある表示
同基準 第6条第2項より引用(2026年8月11日確認) ※スマートフォンでは横にスクロールできます

ただし同項にはただし書きがあります。

ただし、第5条に定める製法品質の要件に該当しないことを明らかにする措置をしたときは、この限りでない。

同基準 第6条第2項ただし書き(2026年8月11日確認)

要件を満たさないと明示すれば、日本の地名などを使うことは認められています。禁止一辺倒ではありません。

猶予期間はもう終わっています

施行前から使っていた表示については、経過措置が設けられていました。

2021 年 3 月 31 日以前に事業者が販売するウイスキーについて、第5条に定める特定の用語を表示してきたとき(第6条第1項に定める表現で表示してきたときを含む。)又は第6条第2項各号に定める表示をしてきたときは、2024 年 3 月 31 日までの間、当該表示してきたウイスキーに限り、なお従前の例によることができる。

同基準 附則 第2条(2026年8月11日確認)

この猶予は2024年3月31日で終わっています。本記事の確認日(2026年8月11日)時点では、経過措置の期間は過ぎています。

ちなみに同じ蒸留酒でも、ジンには国の定義も業界の基準も見当たりませんでした。酒税法に「ジン」という品目がないためです。

酒税法に「ジン」という品目はありません|ジンは「スピリッツ」の中にあります

またウイスキーがいつ日本に来たのかについては、国税庁の資料に記載が見当たりませんでした。調べた範囲を別記事にまとめています。

ウイスキーとジンはいつ日本に来たのか|国税庁の資料で追えるところまで

買うときにどう見ればよいか

確認できること・できないこと

  • 度数はラベルに表示されています。充填時40度以上が要件なので、40度未満であれば要件を満たしません
  • 「ジャパニーズ」と「ウイスキー」が離れて書かれていないかを見る。間に語が入る表示は基準で認められていません
  • 通販の商品名は販売店が付けたもので、瓶のラベル表示とは別物です。商品名だけで基準への適合を判断することはできません
  • この基準は組合が運用するものです。個別の商品が基準の対象かどうかは、当サイトでは確認できません

※2026年8月11日時点で確認した内容です。自主基準は改定されることがあります。最新の内容は日本洋酒酒造組合のページでご確認ください。

サントリーの山崎・白州・響の定価(希望小売価格)と、楽天市場で定価以下の出品があるかは、山崎・白州・響の定価の記事で数えています。

よくある質問

基準を満たしていないのに「ジャパニーズウイスキー」と書いたら違法ですか?
この基準自体は法律ではなく、日本洋酒酒造組合が運用する自主基準です。基準の第7条にそう定められています。個別の事案について当サイトから法的な判断を述べることはできません。
海外の原酒を混ぜていても名乗れますか?
基準の要件では、原材料は「麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限る」とされ、糖化・発酵・蒸留は「日本国内の蒸留所で行うこと」とされています。この要件を満たさなければ、基準上は表示できません。
3年以上というのはいつから数えますか?
原文に「当該詰めた日の翌日から起算して 3 年以上」とあります。木製樽に詰めた日の翌日から数えます。樽詰めした当日は含みません。
日本酒の「純米酒」と同じような決まりですか?
性質が違います。日本酒の特定名称は国税庁の告示(国が定めたもの)ですが、ジャパニーズウイスキーは業界団体の自主基準です。要件の書き方は似ていますが、定めている主体が違います。

出典

本記事は編集部が上記の情報源を確認して作成しました。引用は基準の原文のままです。比較表は編集部が整理したものです。個別の商品が基準に適合しているかどうかの判断は当サイトでは行っていません。自主基準は改定されることがあるため、最新の内容は日本洋酒酒造組合のページでご確認ください。