日本酒のラベルに必ず書いてあること|記載事項・条件つきの表示・禁止表示
日本酒のラベルは、書いてある内容が国の告示で決まっています。「必ず書くこと」「条件を満たせば書けること」「書いてはいけないこと」の3種類があります。
根拠は平成元年11月22日 国税庁告示第8号「清酒の製法品質表示基準」(令和元年6月改正まで)です。原文をそのまま引用して整理します。
必ず書くこと(5項目)
告示の3項が定める記載事項です。
| 項目 | 告示の原文 |
|---|---|
| (1) 原材料名 | 当該清酒の製造に使用した原材料名(水を除く。)を、酒税法に規定する原材料名をもって次の方法で表示する。(中略)この場合において、特定名称を表示する清酒については、原材料名の表示の近接する場所に精米歩合を併せて表示すること。 |
| (2) 製造時期 | 当該清酒を販売する目的をもって容器に詰め密封した時期を、次のいずれかの方法で表示する。(表示例:製造年月 令和元年5月/製造年月 1.5/製造年月 2019.5/製造年月 19.5) |
| (3) 保存又は飲用上の注意事項 | 製成後一切加熱処理をしないで製造場から移出する清酒には、保存若しくは飲用上の注意事項を表示する。 |
| (4) 原産国名 | 保税地域から引き取る清酒(当該引取り後、詰め替えて販売するものを含む。)には、当該清酒の原産国名を(中略)表示する。 |
| (5) 外国産清酒を使用したものの表示 | 国内において、国内産清酒と外国産清酒の両方を使用して製造した清酒については、外国産清酒の原産国名及び使用割合を表示する。なお、使用割合は、10%の幅をもって表示することとして差し支えない。 |
(3)に注目してください。「製成後一切加熱処理をしない」清酒、つまり生酒には、保存や飲用上の注意を書く決まりになっています。ラベルに「要冷蔵」と書かれているものがあるのは、これが理由です。
また(2)の「製造時期」は、瓶に詰めて密封した時期です。造ったシーズンを示す酒造年度(BY)とは別のものです。
★「製造年月」の書き方と、告示の改正
5項目のうち、いちばん問い合わせが多いのが(2)の製造時期です。ここだけ詳しく見ます。
まず告示の見出しは「製造時期」で、「製造年月」ではありません。ラベルに印刷される文字が「製造年月」です。
当該清酒を販売する目的をもって容器に詰め密封した時期を、次のいずれかの方法で表示する。 国税庁「清酒の製法品質表示基準」3項(2)(平成元年国税庁告示第8号。2026年9月2日確認・原文ママ)
書き方は4通りが示されています。どれで書いてもかまいません。
| 告示の記号 | 表示例(原文ママ) |
|---|---|
| イ | 製造年月 令和元年5月 |
| ロ | 製造年月 1.5 |
| ハ | 製造年月 2019.5 |
| ニ | 製造年月 19.5 |
★「1.5」「19.5」は令和元年5月・2019年5月という意味です。値段でも度数でもありません。
★製造年月でないものが書かれる場合が2つある
告示には、製造時期に代えて別のものを書く場合が2つ定められています。
| どんな清酒か | 代わりに書くもの |
|---|---|
| 5項の貯蔵年数を表示するもの | 製造場から移出した時期 |
| 保税地域から引き取る清酒で、製造時期が不明なもの | 「輸入年月」の文字の後に輸入許可書の年月 |
★つまり「製造年月」と書かれていない瓶があります。古酒などで貯蔵年数が書かれているものは、瓶詰めの時期ではなく蔵から出した時期が表示されています。
★改正は6回。いちばん新しいのは令和元年6月
この告示は平成元年に定められてから、6回改正されています。告示の冒頭に履歴がそのまま並んでいます。
| 回 | 告示 |
|---|---|
| 制定 | 平成元年11月22日 国税庁告示第8号 |
| 改正1 | 平成9年2月 国税庁告示第2号 |
| 改正2 | 平成15年10月 国税庁告示第10号 |
| 改正3 | 平成18年4月 国税庁告示第9号 |
| 改正4 | 平成27年9月 国税庁告示第13号 |
| 改正5 | 平成29年3月 国税庁告示第4号 |
| 改正6 | 令和元年6月 国税庁告示第4号 |
★2026年9月2日に確認した時点で、いちばん新しい改正は令和元年6月国税庁告示第4号です。この記事で引用しているのは、その改正を反映した現在の条文です。
※それぞれの改正で何が変わったのかは、当サイトでは調べていません。告示の本文に載っているのは改正の年月と番号だけで、改正前後の対照は示されていないためです。推測での説明はいたしません。改正の内容が必要な場合は、国税庁の該当告示をご確認ください。
製造年月は、造ったシーズンを表す酒造年度(BY)とは別のものです。同じ酒造年度の酒でも、瓶詰めの時期が違えば製造年月は違います。
→ 日本酒の「R8BY」「R7BY」とは?酒造年度の読み方と1年違いの見分け方
文字の大きさまで決まっている
告示の4項は、書き方そのものも定めています。
前項の規定により表示すべき事項は、当該清酒の容器又は包装の見やすい所に明瞭に表示するものとし、表示に使用する文字は、8ポイント(日本産業規格28305(1962)に規定するポイントをいう。以下同じ。)の活字以上の大きさの統一のとれた日本文字とする。ただし、容量200ミリリットル以下の容器にあっては、6ポイントの活字以上の大きさとして差し支えない。
国税庁「清酒の製法品質表示基準」4項(2026年8月10日確認)
8ポイント以上、200ml以下の小瓶なら6ポイント以上。「見やすい所に明瞭に」という定めもあります。
条件を満たせば書けること(10項目)
告示の5項は、任意記載事項として10項目を挙げています。書く義務はありませんが、書くなら条件を満たす必要があります。
| 項目 | 表示できる条件(告示の原文) |
|---|---|
| (1) 原料米の品種名 | 当該原料米の使用割合(中略)が50%を超える場合(複数の原料米の品種名を表示するときは、当該複数の原料米の合計の使用割合が50%を超える場合)に表示できるものとし、表示にあたっては、当該原料米の使用割合を併せて表示するものとする。 |
| (2) 清酒の産地名 | 当該清酒の全部が当該産地で醸造(加水調整をする行為を含む。)されたものである場合に表示できるものとする。 |
| (3) 貯蔵年数 | 貯蔵年数(清酒を貯蔵容器に貯蔵した日の翌日からその貯蔵を終了した日までの年数をいう。)は、1年未満の端数を切り捨てた年数により表示するものとし、貯蔵年数の異なるものを混和した清酒である場合は、当該年数の最も短い清酒の年数をもって表示するものとする。 |
| (4) 原酒 | 製成後、加水調整(アルコール分1%未満の範囲内の加水調整を除く。)をしない清酒である場合に表示できるものとする。 |
| (5) 生酒 | 製成後、一切加熱処理をしない清酒である場合に表示できるものとする。 |
| (6) 生貯蔵酒 | 製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、製造場から移出する際に加熱処理した清酒である場合に表示できるものとする。 |
| (7) 生一本 | 単一の製造場のみで醸造した純米酒である場合に表示できるものとする。 |
| (8) 樽酒 | 木製の樽で貯蔵し、木香のついた清酒(びんその他の容器に詰め替えたものを含む。)である場合に表示できるものとする。 |
| (9) 「極上」「優良」「高級」等 | 同一の種別又は銘柄の清酒が複数ある場合において、香味及び色沢が特に良好であり、かつ、その旨を使用原材料、製造方法その他の客観的事項をもって説明できる清酒である場合に表示できるものとする。なお、「特別」の用語は、「特別純米酒」及び「特別本醸造酒」に限定して使用することができるものとする。 |
| (10) 受賞の記述 | 公的機関(品質審査の実施方法が公開され、当該品質審査を毎年又は一定期間毎に継続して実施することとしている機関に限る。)から付与された賞である場合に、当該受賞した清酒と同一の貯蔵容器に収容されていた清酒について表示できるものとし、表示に当たっては、授賞機関及び受賞年を併せて表示するものとする。 |
読みどころをいくつか挙げます。
- 原料米の品種名は「50%超」から。「山田錦」と書いてあれば、山田錦が半分より多く使われています。使用割合の併記も必要です
- 産地名は「全部がその産地で醸造」されている場合のみ。一部でも別の場所で造っていれば書けません
- 貯蔵年数は混ぜたら短いほうに合わせる。5年と3年を混和したら「3年」です
- 受賞の記述は、受賞した酒と同じ貯蔵容器に入っていた分だけ。授賞機関と受賞年の併記も必要です
このうち品種名と産地名は、それぞれ別の制度ともつながっています。品種名は農産物検査で使える銘柄が道府県ごとに決まっており、産地名は地理的表示(GI)として国の指定を受けている産地があります。
逆に、この10項目にも、必ず書く5項目にも入っていない数字があります。「日本酒度」「酸度」は告示の本文に一度も出てきません。書かれていない商品があるのは、そのためです。
→ 日本酒度・酸度・アミノ酸度とは|国税庁の分析法に「甘口」「辛口」は一度も出てこない
書いてはいけないこと(3項目)
告示の6項は、表示禁止事項を定めています。
| 号 | 表示してはならない事項(告示の原文) |
|---|---|
| (1) | 清酒の製法、品質等が業界において「最高」、「第一」、「代表」等最上級を意味する用語 |
| (2) | 官公庁御用達又はこれに類似する用語 |
| (3) | 特定名称酒以外の清酒について特定名称に類似する用語 |
ただし(3)には例外があります。「特定名称の清酒に該当しないことが明確に分かる説明表示」が近くに、規定の文字サイズ以上で書かれていれば表示してよい、と定められています。
逆に、この告示がまったく触れていない言葉もあります。「新商品」「新発売」「新酒」はいずれも告示に出てきません。実際の商品名でどう使われているかは別記事で数えました。
→ 日本酒の新商品はどう探すか|商品名416件に「新商品」は0件だった
「最高」と「極上」の扱いが違う
「最高」「第一」「代表」は6項で禁止ですが、「極上」「優良」「高級」は5項(9)の条件を満たせば表示できます。似た印象の語ですが、告示の扱いは分かれています。
※2026年8月10日時点で確認した内容です。表示基準は改正されることがあります。
この10項目に入っていない言葉もあります。ひやおろしの説明でよく使われる「生詰」は、告示に一度も出てきません。
→ ひやおろしの「生詰め」とは|国の表示基準に「生詰」という言葉はない
よくある質問
ラベルの「製造年月」は造られた日ですか?
賞味期限は書かれていますか?
「山田錦」と書いてあれば全部その米ですか?
「ひやおろし」はどの区分ですか?
出典
- 国税庁「清酒の製法品質表示基準」(記載事項・任意記載事項・表示禁止事項の原文。平成元年11月22日国税庁告示第8号、令和元年6月改正まで。2026年8月10日確認)
本記事は編集部が上記の告示を確認して作成しました。表内の原文は長いものについて一部を中略しています(該当箇所に「中略」と記載)。表示基準は改正されることがあるため、最新かつ完全な内容は国税庁のページでご確認ください。