酒税法に「ジン」という品目はありません|ジンは「スピリッツ」の中にあります
ジンのボトルの裏を見ると、品目欄には「スピリッツ」と書かれています。「ジン」ではありません。
これは酒税法に「ジン」という品目が存在しないからです。この記事では、国税庁の資料の原文でその構造を確認します。
この記事の結論
- ★酒税法が定める17の品目に「ジン」はありません(分類・定義の資料を検索して0回)
- ★スピリッツの定義は「上記のいずれにも該当しない酒類でエキス分が2度未満のもの」。受け皿の区分です
- ウイスキーには原料と製法の定義があります。ジンとは扱いが違います
- ★税率はウイスキー・ブランデーと同じ欄(37度未満で1kLあたり370,000円)
- 「クラフトジン」「ジャパニーズジン」の基準は、確認した範囲では見当たりませんでした
酒税法の品目は17。そこに「ジン」はない
国税庁の資料「酒税法における酒類の分類及び定義」は、酒類を4つの種類に分け、その下に品目を並べています。表の見出しは次のとおりです。
品 目 / 定 義 の 概 要(酒税法第3条第7号から第23号まで)
国税庁「酒税法における酒類の分類及び定義」表の見出し(2026年8月15日確認)
第7号から第23号までで17の品目です。蒸留酒類に属するものを原文のまま引きます。
蒸留酒類(注) 連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
同 種類と内訳(酒税法第3条第3号から第6号まで)(2026年8月15日確認)
ジンは出てきません。念のため、この資料の本文を検索しました。
| 語 | 「酒類の分類及び定義」での出現回数 |
|---|---|
| ジン | 0回 |
| ウオッカ | 0回 |
| ラム | 0回 |
| テキーラ | 0回 |
| スピリッツ | 出てくる(品目のひとつ) |
| ウイスキー | 出てくる(品目のひとつ) |
★スピリッツの定義は「上記のいずれにも該当しない」
では、ジンが入る「スピリッツ」はどう定義されているのか。原文はこれだけです。
スピリッツ * 上記のいずれにも該当しない酒類でエキス分が2度未満のもの
国税庁「酒税法における酒類の分類及び定義」(2026年8月15日確認)
原料も製法も書かれていません。「ほかのどれにも当てはまらず、エキス分が2度未満」という条件だけです。いわば受け皿の区分で、ジンはここに入ります。
参考までに、すぐ下に並ぶ品目も同じ構造をしています。
| 品目 | 定義の概要(原文) |
|---|---|
| スピリッツ | 上記のいずれにも該当しない酒類でエキス分が2度未満のもの |
| リキュール | 酒類と糖類等を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの |
| 雑酒 | 上記のいずれにも該当しない酒類 |
エキス分2度を境に、スピリッツとリキュールが分かれます。ジンに甘味料などを加えてエキス分が2度以上になれば、品目はリキュールになります。
一方、ウイスキーには定義があります
同じ蒸留酒類でも、ウイスキーの扱いは違います。
ウイスキー * 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの
国税庁「酒税法における酒類の分類及び定義」(2026年8月15日確認)
「発芽させた穀類」という原料の条件と、「糖化させて発酵させて蒸留」という製法の条件があります。スピリッツの「上記のいずれにも該当しない」とは対照的です。
整理すると、同じ棚に並ぶ酒でも、法律の書き方が3通りに分かれています。
| 呼び名 | 誰が、どう定めているか |
|---|---|
| ウイスキー | 国が原料と製法で定義(酒税法の品目) |
| ジン | 国は品目として定めていない。「スピリッツ」という受け皿に入る(本記事) |
| ジャパニーズウイスキー | 業界団体の自主基準(日本洋酒酒造組合)→ 解説 |
★税率はウイスキーと同じ欄にあります
定義の書き方は違うのに、税率は同じです。酒税率一覧表では、3つの品目がひとまとめの欄に置かれています。
| 品目 | アルコール分 | 1kLあたり税率 |
|---|---|---|
| ウイスキー ブランデー スピリッツ |
37度未満 37度以上 |
370,000円 370,000円に37度を超える1度ごとに10,000円加算 |
| 連続式蒸留焼酎 単式蒸留焼酎 原料用アルコール |
21度未満 21度以上 |
200,000円 200,000円に20度を超える1度ごとに10,000円加算 |
ジンは、焼酎ではなくウイスキーと同じ側に置かれています。同じ蒸留酒でも税率の水準が違うことが、この表から読み取れます。
なお、この一覧表は令和8年(2026年)9月30日までのものです。同じ日にビール系飲料の税率が変わります。
この税率は、実際に売られているジンにそのまま効いています。売れ筋の度数は37.0度から55.0度まで幅があり、700mL換算の酒税は259円から385円まで126円の開きがありました(2026年8月15日のランキングから編集部が計算)。
→ 楽天の売れ筋ランキングを酒税の目で見る|「値上げ前」と書かれているのは発泡酒だけ
「クラフトジン」「ジャパニーズジン」に基準はあるか
ウイスキーには、業界団体である日本洋酒酒造組合の自主基準がありました。ジンにも同様のものがあるかを調べました。
同組合のウェブサイトで確認できた自主基準は、次の2つでした。
| 自主基準 | 対象 |
|---|---|
| ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準 | ウイスキー(→ 解説) |
| 低アルコール飲料に関する自主基準 (酒マーク、原材料、特定事項) | 低アルコール飲料 |
| ジンについての基準 | 確認した範囲では見当たりませんでした |
つまり「クラフトジン」「ジャパニーズジン」という表示について、国の定義も、確認できた範囲での業界の基準もありません。この構造は、当サイトで扱った「クラフトビール」と同じです。
なおジンがいつ日本に入ってきたのかも、国税庁の資料では確認できませんでした。ウイスキーと合わせて別記事にまとめています。
→ ウイスキーとジンはいつ日本に来たのか|国税庁の資料で追えるところまで
買うときにどう見ればよいか
ラベルの品目欄の見方
- 「スピリッツ」と書いてあれば、エキス分2度未満の蒸留酒です。ジンもウォッカもラムもここに入ります
- 「リキュール」と書いてあれば、エキス分2度以上です。品質の差ではなく、区分の条件の違いです
- 「クラフトジン」の表示からは、規模も造り方も分かりません。気になる場合は蒸留所の情報を確認してください
- ボタニカルの種類や蒸留の回数は、酒税法の関知するところではありません。製品の説明で確認することになります
※2026年8月15日時点で確認した内容です。酒税法と税率は改正されることがあります。最新の内容は国税庁のページでご確認ください。区分の違いは味の優劣を示すものではありません。当サイトから良し悪しについて述べることはしません。
よくある質問
ジンのラベルに「スピリッツ」と書いてあるのはなぜですか?
スピリッツとリキュールは何が違うのですか?
ジンの酒税は焼酎と同じですか?
「ジャパニーズジン」に基準はありますか?
ウイスキーには定義があるのですか?
出典
- 国税庁「酒税法における酒類の分類及び定義」(PDF)(種類と品目、スピリッツ・リキュール・雑酒・ウイスキーの定義。酒税法第3条第3号から第23号まで。2026年8月15日確認)
- 国税庁「酒のしおり(令和7年7月)」5 酒税率一覧表(令和5年10月1日~令和8年9月30日)(PDF)(蒸留酒類の税率。2026年8月15日確認)
- 日本洋酒酒造組合「自主基準」(掲載されている自主基準の確認。2026年8月15日確認)
- 日本洋酒酒造組合「低アルコール飲料に関する自主基準(酒マーク、原材料、特定事項)」(2026年8月15日確認)
本記事は編集部が上記の情報源を確認して作成しました。引用は原文のままです。出現回数は編集部が資料の本文を検索して数えたものです。比較表は各資料の原文にもとづき編集部が整理したものです。「ジン」の品目が存在しないこと、およびジンの自主基準については、今回確認した資料およびウェブサイトに記載がなかったという事実を書いており、あらゆる文書を網羅的に調べたものではありません。区分の違いは味の優劣を示すものではないため、当サイトからは述べていません。酒税法と税率は改正されることがあるため、最新の内容は国税庁のページでご確認ください。