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ひやおろしの8割は純米系だった|特定名称を351件で数えた

ひやおろしの売り場を眺めていると、「純米」と書かれた瓶がやたらと目につきます。気のせいなのか、本当に多いのか。

数えました。ひやおろし351件のうち、純米系(純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒)は280件、79.8%でした。日本酒全体では54.2%なので、ひやおろしに偏りがあることになります。

数えている途中で、もうひとつ分かったことがあります。楽天市場の日本酒ジャンルは、特定名称そのものが分類名になっていました。ただし国の告示に出てくる名称と、ぴったり同じではありません。

この記事の結論

  • ひやおろし351件のうち、純米系のジャンルは280件=79.8%でした。日本酒全体(271件)では54.2%です
  • ひやおろしに普通酒はほとんどありません。日本酒全体の15.5%に対し、ひやおろしでは1.4%(5件)でした
  • 大吟醸酒はひやおろし351件中1件だけ。いっぽう純米吟醸酒は33.6%を占めます
  • 楽天市場に「特別純米酒」というジャンルはありません。商品名に「特別純米」と書かれた51件は、42件が「純米酒」ジャンルに入っていました
  • そのため「純米酒」で絞り込むと、特別純米酒も一緒に出てきます。ひやおろしの「純米酒」ジャンル146件のうち、42件(28.8%)は商品名が「特別純米」でした
  • 日本酒全体では、4件に1件(28.0%)の商品名に特定名称が書かれていません。ひやおろしでは6.3%まで下がります
  • これは商品名とジャンルの付け方を数えたものであって、市場全体を代表するものではありません

数えた方法

先に、どうやって数えたかを書きます。この記事の数字は、すべてこの条件で得たものです。

項目内容
取得日2026年8月29日(JST)
取得先楽天市場(楽天商品検索API)
母集団A(日本酒全体)検索語を使わず、楽天市場の日本酒ジャンルの指定だけで取得。並び順2種類(最近更新順・標準の並び順)で各最大210件=420件を取り、ふるさと納税の返礼品149件を除いて271件。該当件数は115,803件
母集団B(ひやおろし)検索語は「ひやおろし」のみ。373件を取得し、日本酒ジャンル外5件・商品名に「ひやおろし」がない12件・ふるさと納税5件を除いて351件。該当件数は993件
数えたもの①楽天市場が付けているジャンル ②商品名に含まれる文字列
編集部が実施した取得の条件(2026年8月29日)※スマートフォンでは横にスクロールできます

ふるさと納税の返礼品は除きました。商品名に自治体名や寄附額が入るため、名称の書き方を数えるうえで性質が違うと判断したためです。母集団Aでは420件中149件(35.5%)と多く、含めるかどうかで割合が動きます。除いた件数は上の表に書いたとおりです。

注意点も先に挙げます。

  • ラベルの実物ではなく、通販の商品名とジャンルを見ています。瓶に何と書かれているかは確認していません
  • 楽天市場のみです。他の通販や店頭は含みません
  • ジャンルを付けているのは出品する店です。蔵元や国が付けたものではありません
  • 271件・351件は、該当件数のごく一部です。市場全体の分布としては読めません
  • ひやおろしの該当件数は、10日前の567件から993件へ増えています。当サイトが8月19日に数えたときの記録との比較です。出荷が本格化する時期なので、割合も今後動きます

★楽天の日本酒ジャンルは、特定名称そのものだった

楽天市場の「日本酒」ジャンルの下に、どんな分類があるかを確認しました。9つあり、そのうち6つが特定名称の名前そのものでした。

楽天市場のジャンル特定名称か
純米大吟醸酒特定名称
大吟醸酒特定名称
純米吟醸酒特定名称
吟醸酒特定名称
純米酒特定名称
本醸造酒特定名称
普通酒特定名称ではない(特定名称酒以外の清酒を指す通称)
飲み比べセット
その他
楽天市場の日本酒ジャンルの子ジャンル(2026年8月29日に楽天ジャンル検索APIで確認)。さらに下の階層は9つとも0件だった ※スマートフォンでは横にスクロールできます

「甘口・辛口」でも「産地」でも「価格帯」でもなく、特定名称で分かれています。特定名称は国税庁の告示(清酒の製法品質表示基準)が定めた表示のルールなので、売り場の分類がそのまま国の表示基準に乗っている形です。

★告示の8つに対して、ジャンルは6つしかない

特定名称は一般に8種類と言われます。ただし告示の表に書かれているのは、吟醸酒・純米酒・本醸造酒の3つだけです。残りは第2項のただし書きから生まれます(→特定名称の記事)。

その8つと、楽天のジャンルを並べます。

特定名称(8つ)楽天のジャンル
吟醸酒あり
大吟醸酒あり
純米酒あり
純米吟醸酒あり
純米大吟醸酒あり
本醸造酒あり
特別純米酒なし
特別本醸造酒なし
告示から導かれる8つの特定名称と、楽天市場のジャンルの対応(編集部が整理・2026年8月29日確認)※スマートフォンでは横にスクロールできます

「特別」の付く2つに、置き場がありません。では、それらの商品はどこに入っているのか。実際に数えました。

商品名に書かれた名称件数入っているジャンル
特別純米51純米酒 42件/その他 4件/純米吟醸酒 3件/飲み比べセット 2件
特別本醸造5本醸造酒 5件
母集団B(ひやおろし351件)で、商品名に「特別純米」「特別本醸造」を含む商品のジャンル(編集部が数えた・2026年8月29日取得)※スマートフォンでは横にスクロールできます

ほとんどが「特別」を取ったジャンルに入っていました。結果として、「純米酒」で絞り込むと特別純米酒も一緒に出てきます。

逆から見ると、こうなります。ひやおろしの「純米酒」ジャンル146件のうち、42件(28.8%)は商品名が「特別純米」でした。日本酒全体でも、「純米酒」ジャンル77件のうち25件(32.5%)が「特別純米」です。

特別純米酒は、純米酒のうち香味・色沢が特に良好で、かつその理由を客観的な事項で説明表示したものに限って名乗れます(告示 第2項第3号)。純米酒とは名乗る条件が違います。ジャンルで絞ったつもりでも、条件の違うものが混ざるということです。

実例:ジャンルは「純米酒」、商品名は「特別純米酒」

この形の商品を1件、商品ページを開いて確認しました。青森・六花酒造の「杜来(とらい)」のひやおろしです。

  • 商品仕様の「特定名称」欄には「特別純米酒」と書かれています
  • いっぽう楽天市場のジャンルは「純米酒」でした(商品検索APIで確認)。この記事で数えた51件と同じ形です
  • 商品名には「秋あがり」と「ひやおろし」の両方が入っています
  • 1800ml・アルコール16度・精米歩合60%(麹米55%/掛米60%)・原料米は青森県産華吹雪100%
  • 税込3,740円、送料890円。送料無料ラインの対象外と書かれているので、1本だけ買うと合計4,630円になります

※2026年8月30日に商品ページを開いて確認した内容です。このとき在庫数は5と表示されていました。価格・送料・在庫は変わります。また、当サイトの編集部はこの酒を飲んでいません。味については述べません。購入前に必ず商品ページでご確認ください。

★ひやおろしの8割は純米系だった

ここからが本題です。ジャンルの内訳を、日本酒全体とひやおろしで並べます。

ジャンル日本酒全体
271件
ひやおろし
351件
純米酒77件(28.4%)146件(41.6%)
純米吟醸酒35件(12.9%)118件(33.6%)
純米大吟醸酒35件(12.9%)16件(4.6%)
本醸造酒15件(5.5%)14件(4.0%)
大吟醸酒18件(6.6%)1件(0.3%)
吟醸酒6件(2.2%)3件(0.9%)
普通酒42件(15.5%)5件(1.4%)
飲み比べセット22件(8.1%)38件(10.8%)
その他21件(7.7%)10件(2.8%)
ジャンル別の件数と割合(編集部が数え、計算したもの・2026年8月29日取得)※スマートフォンでは横にスクロールできます

読みどころは3つあります。

  • 純米系(純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒)の合計は、ひやおろしで280件=79.8%。日本酒全体では147件=54.2%です
  • 普通酒が15.5%から1.4%へ落ちます。ひやおろしで普通酒は5件しかありませんでした
  • 大吟醸酒は1件だけ。いっぽう純米吟醸酒は12.9%から33.6%へ、2倍以上に増えます

なぜそうなるのかは、この数字からは分かりません。ひやおろしの造り方や売り方について、そう定めた文書は見つかっていません。「ひやおろし」と「秋あがり」の違いで確認したとおり、ひやおろしという言葉自体に国の定義がないためです。ここでは売り場でそうなっている、という事実だけを書きます。

なお、特定名称のジャンルに入っている商品の合計は、日本酒全体で186件(68.6%)、ひやおろしで298件(84.9%)でした。

商品名に書かれた名称と、ジャンルは一致するか

ジャンルは店が付けるものです。では商品名のほうには、何と書かれているのか。同じ母集団で、商品名の文字列を数えました。

商品名に含まれる語日本酒全体
271件
ひやおろし
351件
純米吟醸41件(15.1%)125件(35.6%)
純米53件(19.6%)120件(34.2%)
特別純米28件(10.3%)51件(14.5%)
本醸造13件(4.8%)23件(6.6%)
吟醸13件(4.8%)16件(4.6%)
純米大吟醸43件(15.9%)15件(4.3%)
特別本醸造6件(2.2%)5件(1.4%)
大吟醸24件(8.9%)2件(0.6%)
どれも書かれていない76件(28.0%)22件(6.3%)
商品名に含まれる特定名称の語(編集部が数え、計算したもの・2026年8月29日取得)。長い名称から先に当て、重複して数えないようにした(例:「純米大吟醸」は「純米」「大吟醸」に数えていない)。1つの商品名に複数の名称が入る場合があるため、合計は100%を超える ※スマートフォンでは横にスクロールできます

ジャンルの順位とおおむね一致しました。ひやおろしでは純米吟醸と純米が上位を占め、大吟醸はほとんど出てきません。

複数の名称が入っていた商品は、日本酒全体で21件、ひやおろしで23件でした。その多くは飲み比べセットです(それぞれ15件、19件)。中身の違う瓶を並べているので、名称も並びます。

★日本酒全体では、4件に1件に名称が書かれていない

いちばん差が出たのは、特定名称がどれも書かれていない商品の割合でした。

日本酒全体では76件=28.0%。ひやおろしでは22件=6.3%です。

日本酒全体のほうが高いのは、普通酒が15.5%を占めることと無関係ではないと考えられます。普通酒は特定名称酒ではないので、名乗れる名称がありません。ただし、それだけで28.0%を説明できるわけではなく、理由は商品名からは分かりません。

言えるのは、ひやおろしを探しているときは、商品名を見れば9割以上で特定名称が分かるということです。

買うときにどう見ればよいか

今回の数字から言えることを、そのまま並べます。味の良し悪しについては述べません。

  • 「純米酒」のジャンルで絞ると、特別純米酒も混ざります。ひやおろしでは28.8%がそうでした。名乗る条件が違うので、商品名で見分けてください
  • ひやおろしで大吟醸を探すなら、件数は多くありません。今回351件で1件でした
  • ジャンルは出品する店が付けています。国や蔵元が決めたものではないので、迷ったら商品名とラベルの表示で確かめてください
  • 特定名称は味の等級ではありません。原料と精米歩合などの条件で決まる名前です(→精米歩合の読み方
  • 件数も割合も、時期で動きます。ひやおろしの出品はこの10日で567件から993件に増えました

同じ351件で、「生詰」「無濾過」といった造りに関わる言葉も数えました。告示に定義がある語とない語が混ざっています。

ひやおろしの「生詰め」とは|国の表示基準に「生詰」という言葉はない

なお「本醸造」はビールでは使用できない語です。日本酒では特定名称なのに、業界の規約で禁じられています。

ビールの「生」「ラガー」は誰が決めているか|業界の規約が条件を定めている4語

この7つのジャンルで値段がどれだけ違うかも、別途ランキングで数えました。吟醸酒がここでも最少だった点は共通しています。

日本酒は名称で値段がどれだけ違うか|売れ筋192件を1合あたりで並べた

よくある質問

ひやおろしに純米系が多いのはなぜですか?
理由は分かりません。ひやおろしの造り方や使う特定名称を定めた文書は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。事実として、351件のうち79.8%が純米系のジャンルでした。推測での説明はいたしません。
「特別純米酒」と「純米酒」は何が違いますか?
告示の第2項第3号で、純米酒のうち香味・色沢が特に良好であり、かつその旨を使用原材料・製造方法その他の客観的事項で説明表示するものに限って「特別純米酒」と名乗れると定められています。精米歩合で説明する場合は60%以下であることが条件です。詳しくは特定名称の記事をご覧ください。
楽天に「特別純米酒」のジャンルがないのは問題ですか?
当サイトから良し悪しは述べません。ジャンルの設計は楽天市場のもので、告示が定めているのはラベルの表示です。両者は別の制度です。絞り込みの結果に条件の違う商品が混ざる、という事実だけをお伝えします。
普通酒は品質が低いということですか?
いいえ。普通酒は「特定名称酒に当てはまらない清酒」を指す通称で、告示に出てくる言葉ではありません。特定名称は原料や精米歩合などの条件で決まる名前であり、味の等級ではありません。
ふるさと納税を除いたのはなぜですか?
商品名に自治体名・寄附額・返礼品番号などが入り、名称の書き方を数えるうえで性質が違うと判断したためです。母集団Aでは420件中149件(35.5%)を占めていました。除いた件数は本文の表に書いています。
この数字はいつのものですか?
2026年8月29日時点のものです。ひやおろしは9月から11月にかけて出荷が本格化するため、件数も割合も変わります。時期を区切った記録としてお読みください。

出典

本記事は編集部が楽天市場商品検索APIを用いて2026年8月29日に取得したデータをもとに作成しました。母集団Aは検索語を使わず、楽天市場の日本酒ジャンルの指定だけで取得したものです(並び順2種類で420件、ふるさと納税の返礼品149件を除いて271件/該当件数115,803件)。母集団Bは検索語「ひやおろし」のみで取得しました(373件から、日本酒ジャンル外5件・商品名に「ひやおろし」がない12件・ふるさと納税5件を除いて351件/該当件数993件)。いずれも楽天市場の一部であり、市場全体を代表するものではありません。件数・割合はすべて編集部が数え、計算したものです。ジャンルは出品する店が付けたものであり、国や蔵元が定めたものではありません。商品名の集計は文字列の一致で行い、長い名称から先に当てて重複して数えないようにしています。1つの商品名に複数の名称が入る場合があるため、商品名の表の合計は100%を超えます。商品名やジャンルに書かれていないことが、その商品にその性質がないことを意味するわけではありません。告示の引用は原文のままです。ラベルの実物は確認していません。特定名称は原料・精米歩合などの条件で決まる名前であり、味の等級ではないため、当サイトから良し悪しについては述べていません。価格・在庫は日々変動するため、購入前に必ず販売店の商品ページでご確認ください。