精米歩合とは?40%は「60%削った」という意味|国税庁告示の全7か所を読む
ラベルの「精米歩合 40%」は、米を40%削ったという意味ではありません。「40%だけ残した」=60%を削ったという意味です。数字が小さいほうがよく削っています。
この記事では平成元年11月22日 国税庁告示第8号「清酒の製法品質表示基準」の本文から、精米歩合に関わる規定を7か所すべて拾って整理します。名称ごとの一覧は別記事にありますので、こちらは数字そのものを扱います。
この記事の結論
- 精米歩合は「玄米に対して残った白米の重量の割合」。削った割合ではない
- 数字が小さいほど、よく削っている
- ★純米酒には精米歩合の決まりがない(告示に規定が存在しない)
- 判定は1%未満を切り捨てた数値で行う
- 特定名称を表示する清酒は、原材料名の近くに精米歩合を併記する義務がある
定義の原文
告示の「本表の適用に関する通則」の第1号に、こう書かれています。
精米歩合とは、白米(玄米からぬか、胚芽等の表層部を取り去った状態の米をいい、米こうじの製造に使用する白米(以下「こうじ米」という。)を含む。以下同じ。)のその玄米に対する重量の割合をいうものとする。
国税庁「清酒の製法品質表示基準」通則第1号(2026年8月11日確認)
読み解くと「白米の重量 ÷ 玄米の重量」です。削り取った側ではなく、残った側を数えます。
| 精米歩合 | 残っている割合 | 削った割合 |
|---|---|---|
| 70% | 70% | 30% |
| 60% | 60% | 40% |
| 50% | 50% | 50% |
| 40% | 40% | 60% |
| 23% | 23% | 77% |
精米歩合が小さいほど、たくさん削っています。「精米歩合が高い酒」という言い方は、削り具合について話しているのか数字について話しているのかで意味が逆になるため、当サイトでは使いません。
精米歩合23%の実例が、獺祭の「磨き二割三分」です。「二割三分」は精米歩合をそのまま読み上げた名前で、米の77%を削っています。その値段を蔵元の価格表と楽天の出品で突き合わせた記事があります(→獺祭の値段はいくら?)。
こうじ米も含めて数える
定義の括弧の中に、見落としやすい指定があります。
白米(……米こうじの製造に使用する白米(以下「こうじ米」という。)を含む。以下同じ。)
同 通則第1号(2026年8月11日確認)
こうじを作るために使う米も「白米」に含まれます。掛米だけの数字ではありません。
なお、この計算の分母になる「玄米」の側にも国の規格があります。醸造用玄米の等級、道府県ごとに決められた品種、山田錦や五百万石の生産量は別記事にまとめています。
→ 酒米(酒造好適米)とは|国の規格の名前は「醸造用玄米」。等級6段階と品種の決まり方
★商品ページでは2つの数字に分かれていることがある
告示の定義は1つの数字です。ところが実際の商品ページには、数字が2つ並んでいることがあります。
| 商品 | 精米歩合の記載(原文ママ) | 名乗っている名称 | その名称の上限 |
|---|---|---|---|
| 美酒爛漫 本醸造 1.8L | 麹米 65% 掛米 70% | 本醸造酒 | 70%以下 |
| 久保田 千寿〔吟醸〕1800ml | 麹米50%、掛米55% | 吟醸酒 | 60%以下 |
こうじを作る米(麹米)と、もろみに入れる米(掛米)で、削り具合を変えているためです。上の「こうじ米も含めて数える」で見たとおり、告示の精米歩合はこの両方を含めた数字ですから、2つ書いてあるのは告示の言葉そのものではなく、内訳の説明にあたります。
★読むときは、小さいほうの数字だけを見ないでください。久保田 千寿の「麹米50%」は数字だけなら大吟醸酒の水準ですが、この商品が名乗っているのは吟醸酒です。
※2つ書かれている場合に、告示のいう「精米歩合」をどちらの数字とみなすのかは、今回確認した範囲では告示に書かれていませんでした。当サイトからは推測での説明をいたしません。事実として、上の2件はどちらの数字も、名乗っている名称の上限以下でした。
この2件は、名称別の売れ筋ランキングを1件ずつ見ていて出てきたものです。
→ 本醸造酒の売れ筋ランキング30件|一升瓶が7つの名称のうち最多だった
→ 吟醸酒の売れ筋ランキング20件|出品数は7つの名称でいちばん少ない
告示に「精米歩合」が出てくるのは7か所だけ
告示の本文を検索すると、「精米歩合」という語が使われているのは7か所だけでした。数字が要件になっているのは、そのうち4か所です。
| # | どこに出てくるか |
|---|---|
| 1 | 吟醸酒の要件(60%以下) |
| 2 | 本醸造酒の要件(70%以下) |
| 3 | 通則第1号(精米歩合の定義) |
| 4 | 通則第6号(1%未満の端数を切り捨てて判定) |
| 5 | 大吟醸酒の名称(50%以下) |
| 6 | 特別純米酒・特別本醸造酒の名称(条件つき60%以下) |
| 7 | 記載事項(原材料名の近くに精米歩合を併記) |
この一覧に「純米酒の要件」が入っていないことに気づきます。純米酒の要件は「白米、米こうじ及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの」で、精米歩合の規定がありません。つまり精米歩合80%の純米酒も、告示上は純米酒です。
名称ごとの要件と、この点の詳しい解説は別記事にあります。
→ 日本酒の「純米」「吟醸」「大吟醸」の違い|国税庁告示の要件をそのまま読む
1%未満は切り捨てて判定する
境目の数字が問題になる場面のための規定です。
精米歩合、こうじ米の使用割合及び醸造アルコールの白米に対する重量の割合が基準に適合しているかどうかは、1%未満の端数を切り捨てた数値により判定するものとする。
同 通則第6号(2026年8月11日確認)
切り捨てて判定します。たとえば計算上60.9%であれば、切り捨てて60%として扱われるため「60%以下」に適合します。
ラベルへの併記は義務です
記載事項の規定に、次の一文があります。
この場合において、特定名称を表示する清酒については、原材料名の表示の近接する場所に精米歩合を併せて表示すること。
同 記載事項の表示 第1号(2026年8月11日確認)
特定名称を書くなら、精米歩合も原材料名の近くに書かなければなりません。逆に言えば、ラベルに特定名称があるのに精米歩合が見つからない場合は、原材料名の周辺を探せば見つかります。
ラベル表示の全体像は別記事にまとめています。
買うときにどう見ればよいか
数字を見るときの5点
- 小さい数字ほどよく削っている。50%なら半分を削っています
- 「純米酒」の精米歩合は自由です。数字が大きくても告示違反ではありません
- 「特別純米酒」の60%以下は条件つきです。精米歩合で「特別」を説明する場合に限ります
- 精米歩合は原材料名の近くにあります。特定名称が書かれていれば併記が義務です
- ★「麹米○%・掛米○%」と2つ書かれていることがあります。小さいほうの数字だけを見ないでください
※2026年8月11日時点で確認した内容です。表示基準は改正されることがあります。最新の内容は国税庁のページでご確認ください。削り具合と味の good/bad は告示の対象ではありません。当サイトから味の優劣について述べることはしません。
★ただし、精米歩合の順と値段の順は一致しません。売れ筋ランキングを1合あたりで並べると、精米歩合の決まりがない純米酒のほうが、60%以下が条件の純米吟醸酒より高いという逆転が出ました。
→ 日本酒は名称で値段がどれだけ違うか|売れ筋192件を1合あたりで並べた
よくある質問
精米歩合が2つ書かれているのはなぜですか?
精米歩合40%は、4割削ったということですか?
精米歩合が小さいほど良いお酒ですか?
「精米歩合が高い」とはよく削ったという意味ですか?
こうじを作る米も精米歩合に入りますか?
ちょうど60%のときはどちらですか?
出典
- 国税庁「清酒の製法品質表示基準」(精米歩合の定義・特定名称の要件・通則・記載事項の原文。平成元年11月22日国税庁告示第8号、令和元年6月改正まで。2026年8月11日確認)
本記事は編集部が上記の情報源を確認して作成しました。引用は告示の原文のままです。割合の対応表と出現箇所の一覧は、告示の定義と本文にもとづき編集部が作成したものです。味や品質の優劣については告示の対象ではないため、当サイトからは述べていません。表示基準は改正されることがあるため、最新の内容は国税庁のページでご確認ください。